運送業の2024年問題、という言葉をご存知でしょうか?働き方改革に伴う法改正により、運送業に大きな影響が出るだろうという問題のことです。今回は、その「2024年問題」がどのようなものかを解説していきます。
2024年問題とは?
現在日本政府は労働人口の減少や長時間労働などの課題から「働き方改革」を推進しており、その一環として「働き方改革関連法」による法改正を行っています。この法改正には時間外労働の規制が含まれており、トラックドライバーなどが該当する「自動車運転の業務」では「年960時間」が上限とされました。
一般的な企業では「年720時間」と設定されるため緩い規制のように思えますが、もとより残業の多い傾向にある運送業では、早急な対応が難しいところもあるでしょう。運送業などへの適用は2024年4月からとなるため、この懸念を「運送業の2024年問題」と呼んでいます。
※出典:厚生労働省「参考資料2 改善基準告示見直しについて(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000831729.pdf
・現在の運送業の実態
2020年に厚生労働省が実施した調査によると、大型トラックドライバーの平均時間外労働は月35時間となっています。年間では420時間になる計算です。中型・小型トラックドライバーの場合は月31時間、年間では372時間になる計算です。
法改正による残業時間規制は「年960時間」とあるので問題ないように見えますが、これは平均のデータのため、この基準をオーバーしている企業も多く存在します。それら企業は2024年問題に対応できない可能性があります。
・労働者への影響
残業が多い運送業においては、時間外手当に重きを置いて稼ぐ方も多数います。ですが法改正によって長時間残業ができなくなると、これまで残業代によって実現していた収入が減少することが考えられます。労働時間が減ることで健康を守ることができますが、収入を重視する方には厳しい環境になるでしょう。
・運送会社への影響
労働時間上限規制に違反した事業者は「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑事罰を受けることもあります。ドライバーの労働時間が減少すると、その分1日に運べる荷物の量が減り、利益減少に繋がります。ドライバーへ支払う時間外手当をカットできるという見方もできますが、それによる離職も考えなければなりません。ひとつの会社だけでなく、社会全体でのドライバー不足も念頭に置いておくべきかもしれません。
また2023年4月からは「月60時間超の残業代の割増賃金引上げ」も適用されます。割増賃金率が25%から50%にアップするため、経営・収支状況も見直しが必要になるでしょう。
まとめ
働き方改革に伴う労働基準法改正によって、ドライバーの時間外労働の上限が年960時間となります。この2024年問題への対策としては、荷待ち時間の削減や運行計画の改善など、業務をより効率化することなどが挙げられます。2024年までに、対策を進めてゆきましょう。
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